M社会社見学 採用編

M社さんは、コロナ前から毎年、新卒採用を続けています。この採用に関して話をしてくれました。採用のポイントは、応募してきた学生に、同じ説明をするのではなく、学生を4つのパターンに分けて、そのタイプ別に会社説明をするそうです。タイプ分けは、SPトランプと言うモノを使っているそうです。簡易な性格診断のようなものです。


このトランプを使って、①人間関係を重視②キャリア志向③プロセス重視④安定志向の4つのタイプに分けます。




(この資料は社員さんが作っています。見栄えがいいですよね)


そして、①人間関係を大事にしている人には、「社員のほぼ全員が“社風が理由で入社を決めた”と 答えるほど、仲の良さが自慢です。」とアピールされています。


具体的には、家族サービスのためのノー残業デーを設けたり、毎月一回社長の手作りのカレーの日。入社式、職人さんたちとの謝恩会、餅つき大会などイベントを頻繁に行っていると説明されています。さらに、各イベントの写真をふんだんに使って、やってきた実績をしっかりと伝えています。


そして、ありがとうカードの活動説明がありました。同僚に何かしてもらったら「ありがとう」の気持ちをメッセージに書いて相手に渡します。後で集計して多い人を表彰するというのが、一般的な活動ですが、M社さんは、少し工夫しています。


紙に書いて相手に渡すと、その紙を集計したり、保管する必要が生じます。「ありがとう」を伝えるだけなのに、この手間に社長は違和感を感じたそうです。それで社長がやったことは、社員さんの顔写真が付いたケースを用意し、ありがとうを伝えたい人へ、お菓子の袋にメッセージを書いて入れます。投げ銭のようなものです。


これだと、ありがとうの気持ちが相手に伝わり、お菓子を食べると終了する。シンプルで良いとおっしゃっていました。紙を集計する方法にメリットはあると思いますが、学んだとおりでなく、自分で考えて自社に合わせる工夫をされています。


②キャリア志向の人には、「一人ひとりが夢を実現できるよう、 定期的に上司と面談して個人別に目標を決めます。 実現できるように上司や先輩がサポートします。」と説明されています。


各種手当の詳しい説明。実際の給料テーブル(それも一番早い昇進したパターン)をはっきり出して、5年後の給料を見せています。また、出た利益をどのように配分するのかも明示します。利益の1/3を賞与として支払い、1/3は税金、1/3は内部留保としているそうです。会社が儲かれば、賞与として報いていることをアピールします。


③プロセスを重視する方には、「誰もが入社してすぐに結果が出せるわけではありません。 結果を出せる人だけが評価され、地道に取り組んでいる人は 評価されないことが一般的かもしれません。弊社では「しっかりと取り組んでいる社員の頑張りや プロセスを評価する“成長シート制度”」を導入しています。と説明をされています。一般職の場合は、結果が25%、行動が45%、勤務態度が15%と評価の60%が行動と態度だと伝えているそうです。


④安定志向の方には、「パワハラ、セクハラが起こったらどこにどう相談したらいいのか? と社内ルールがキチンと完備していること。定期的に、外部講師からの研修を受けていること。資格取得支援制度、OJT研修などがあり、安心して働ける職場である」と説明をしているそうです。


このように、学生さんが興味あることに対して丁寧に説明をしてもらえると、安心感や信頼感を与えますね。最近の新卒者は、ハラスメントには、かなり興味があるそうで、ハラスメントに対しては、キチンとした体制があるという印象を与えることが大事だとアドバイスを頂きました。


ここで、社長から前回の質問がありました。「あなたの会社にとってのいい人材とは?」

社長の話に聞き入って、私はその質問の答えを忘れていました。「うちの会社では」と言いました。どんな答えが返ってくるんだろうとワクワクしていました。


「うちの会社に、いい人材の条件はないです。」と言いました。なんという、どんでん返し。自分で質問しておいて、その答えはないだろう。と思いました。


しかし、次の言葉にしびれました。「うち会社は勤務態度を重視しています。①気持ちのいい先手のあいさつ②すぐやるの実践③報連相。この3つができたらいい人材です。やろうと思えば誰でもできます。だから、誰が応募してくれてもいいんです。」とおっしゃいました。この考えで採用活動をやってられるので、会社説明会に来た学生のうちほぼ全員が面接に来るそうです。


このような細やかな心配りが学生さんに伝わるのだろうと思いました。きっと、社長は、自分たちが選ぶのではなく、学生さんから選ばれることを目的にされていると思いました。


講演が終わった後に、時間をもらって社長と話をしました。「女性がしっかりしていますね。」というと、「管理グループのトップの女性は、パートからの登用なんですよ。仕事ができる人は社員に登用しているんです。」とおっしゃいました。驚いたのは、今でも勤務時間が時短だそうです。6.5時間で正社員、それも管理職。私は6.5時間の勤務ならパートという雇用形態しか無理だと思いこんでいました。私は働ける時間で区別していますが、社長は、その人の能力をキチンと見て、大切にされているのだと思いました。


前回の環境整備や今回の採用がうまくいっているという結果に、ついどうやっているのか? というテクニック(戦術)に目が行きがちになると思います。しかし、その戦術を支える理念(喜ばれる人になりましょう)がお飾りではなく、本気なんだと思いました。その社長の思いに共感して、社員さんも協力されていたり、学生さんの心に響いて、結果としてうまくいっているように思います。