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満足要因と不満足要因


先月のMGは、ベテランばかりの参加でしたので、通常の講義だけでなく、自ら考えてもらう課題をやってもらいました。その一つが、以下の設問です。

「下の表に書いてある3事業をやっている社長です。あなたは社長として、どの事業を今後伸ばしていきますか? それを社員さんに分かるように説明をしてください」ポイントは、いかに社員さんに納得してもらうか? です。社員さんはMGに参加をしていてMQ会計の基礎は分かっているものとします。

A事業

B事業

C事業

平均P

3千万円

400万円

30万円

平均M

600万円

230万円

26万円

平均G

200万円

170万円

20万円

リードタイム

90日

10日

1日

工数

130人日

20人日

2人日

特徴

人目につく派手な事業。専門性が高い

一目にはつくが、A事業より目立たない。専門性が高い

裏方作業。誰でもできる。A事業の顧客には売りやすい

私は、C事業が1日当たりのMが高く、誰でもできる事業なので、C事業を押していくと判断しました。


社員さんへの説明は次の通りです。


A事業は、Pが3000万円で、Gが200万円とかなり稼いでいるよね。A事業がたくさん稼いでいるからいいと思うかもしれないね。これって、俺に言わせると遠洋漁業なんだよ。でっかい船に乗って、マグロを追いかけて、港に戻ってくる。マグロを売れば、大きな金額にはなるよね。仕事が大きくてかっこいいよね。


そのためには3か月という長い時間が必要なんだよ。C事業は、一日で行けるところで魚を取っている感じ。売っても一回の金額は少ないね。近海での漁は、地味な感じして、カッコよくないかもしれないね。


だけどよく考えて欲しい、マグロ漁は三カ月間、全くお金が入ってこないんだよ。もしマグロがいなくて不漁だったらその行くための燃料、人件費などがたくさんかかっているから大赤字になるよね。


A事業も似ているよね。仕事が長期間になるし、何かで失敗したら、また作り直しなどと言ったら大きな損失が出る


近海の仕事だったら、毎日お金が入ってくるし、今日がだめでも明日リカバーすればいい。遠洋漁業よりもこっちの方が安心できるよね。C事業は、その日に行って仕事が終わるし、そんな大きな失敗なんて考えにくいよね。


そして、もっと考えて欲しいことがあるんだよ。「M/人日」これは一日の一人当たりのMなんだよ。一日で一人がいくら稼いだか? ということ。このMQ(Mを集めてモノ)からみんなの日当が支払わているんだ。


C事業は1日で、13万円も稼ぐんだよ。B事業は、8.5万円、A事業はたったの4.6万円。

どっちをやった方が、給料は多くなると思う?C事業だよね。その上、技術が要らないんだよ。誰でもできる。


そしたら、C事業だけをやればいいと思うよね。C事業は、近場の漁とは言ったけど、深海魚なんだよ。この目当ての魚は、どこにいるのかが分からない。C事業は、毎日ある仕事ではないんだよ。そういった意味で、遠洋漁業のA事業を止めることはない。遠洋漁業しながら、間の時間で近場の漁を増やしていく。そうやってMQを稼いで、みんなの給料を増やしていきたいと思っているんだよ。


私は、このような説明を考えました。


X社長の説明は、原稿がないので要点だけを伝えますと、


A事業は、やっぱり華があるよね。これは我々がやった仕事と誇れるものなんだよ。この事業を進めていって、地域でのわが社の価値を高めていこう。高収益のC事業は、A事業をキチンとやっていけば、必ずついてくる。だからA事業をやっていこう。


という感じでした。私の方が文字数が多いので良いと感じた方もいるやもしれませんが、X社長の方が票を得ていました。


ポイントは、社員さんにどんな夢(メリット)を感じてもらえるか? だと思うのです。私は、楽して儲かる。給料が上がるでした。


X社長は、A事業をやっていけば、仕事をやり遂げたという誇りが持てる。地域でのわが社の価値を高めよう。キチンと仕事をしていけば、給料もおのずと上がっていく(そこまで言ってませんが、想像できる)。


この結果は、ハーズバーグの二要因理論の動機付け要因と衛生要因で説明がしやすいです。

私が刺激しているのは、衛星要因(不満足要因)です。衛星要因とは、「整備されてないと不満に感じるもの」例えば、給料や福利厚生、人間関係などです。


特徴は、ないと不満に感じるが、あっても満足しない。例えば給料が年収200万円だったら、給料が少ないと不満に思うが、1000万円になったからといって、頑張ろうとは思わない。600~800万円で満足してしまう。


それに対してX社長が刺激しているのは、動機付け要因(満足要因)です。動機付け要因と「あればあるほど仕事に前向きになる」例えば、仕事そのもの。達成すること。です。


特徴は、なくてもなくても不満には感じないが、あればあるほど頑張ろうとする。社員さん自らがやった仕事が、知り合いに見てもらえて、もし賞賛を得ることがあれば、それはやる気になりますね。X社長はここを刺激しています。


私は、給料や労働環境を整えれば、社員さんはやる気になってくれると勘違いをしていました。それは、最低限として必要なことですが、仕事そのものへの夢や希望、社員さんの自己実現のために会社として手を打っていく必要があると感じました。




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