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タイパが全てだろうか?

昨年の秋のMGで、初参加のA社長と一緒になりました。資金繰り表の在庫の数、金額がなかなか合いませんでした。資金繰り表のミスを探して差額が0になり、決算に行きました。しばらく他の所に行ってから、戻ってみると、決算プログラムの手順通りにやってませんでした。


直ぐに作業を止めてもらって間違ったところを消しゴムできれいに消してもらいました。再度スタートするときは、まずは字が読みにくかったので、丁寧に字を書くことを指示しました。目を離すとすぐに違うことをするので、横についてなんとか決算が終わりました。


3期、4期、5期ともに同じような状況でした。これだけ資金繰り表や決算に苦労したら次回は参加しないだろうと思っていましたが、翌月から、私のMGにほぼ毎月参加してくれるようになりました。


4-5回参加しても、A社長の資金繰り表の在庫の数も金額もなかなか一発で合いません。原因の一つが字の汚くて、数字を読み間違ってしまうことでした。それで、何度も同じように「まずは、丁寧に字を書きましょう。丁寧に電卓をたたきましょう」と言いました。


ある時は、あまりに電卓を打ち間違えるので、「こんな古い電卓はやめて、新しいものにして」と言ったこともありました。本人には愛着のある電卓だったので悪いことを言ったなぁと今は反省しています。


半年くらいたったころに、本人からなかなか計数力が上がらないことに相談がありました。その時に、まっさらなマトリックス会計表を渡して、「毎日、今までやった資金繰り表を使って、1期づつ練習したら計数力は必ず上がります。やってみてください。」とアドバイスしました。


その後、二度MGに参加されたましたが、決算の速度はあまり変わりませんでした。決算書を毎日練習するのは、大変な事なので、多分A社長は、練習はやってないのだろうなぁと思っていました。


それが、先日のMGでA社長の決算の速度が見違えるほど速くなっていたのです。驚きました。A社長に聞いてみると、私の言ったとおりに、毎日決算書の練習をしていたそうです。


アドバイスから、効果が出るまでの期間は約4か月間でした。これだけ長い間、A社長は決

算書の練習を毎日続けていたのです。だいたい2か月もやって効果が出なかったら諦める人が多いと思います。それを粘り強く同じことを繰り返して練習されたことに頭が下がる思いでした。


決算が早くなると、ゲームに集中する時間ができます。今まで入賞に程遠い結果ばかりでしたが、なんとその回では3位に入賞されました。


私は、表彰式の際に文面通りに読まずに、「毎日、決算書の練習して、効果がなかなか出ませんでしたが、あきらめずに練習をされて今回入賞されたことが素晴らしいです」というようなことを言いました。私のほうが感極まって涙声です。


その時にA社長は「普通に読んでくださいよ」と言いました。この言葉を聞いて、A社長にとって、決算書の練習は特別なことではなく、毎日歯磨きをするような普通の事なのだと気が付きました。そして、きっとこの後もA社長は練習を続けるだろうと思いました。


今の世の中はタイパという言葉に表れるように時間に対する効果に価値を置いています。それはよく切れるカミソリを望んでいるような気がします。


A社長は、努力した日を、積み重ねられてこられました。この努力は非効率かもしれませんが、ナタのような重みがある気がします。どちらを選ぶかは個人の自由ですが、私はナタを選ぶ人を尊敬しています。


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