他力は無限
- 辻 敏充
- 5月1日
- 読了時間: 3分
私は、軽作業の請負という事業も行っています。紙箱にお菓子を詰め合わせをして、包装をして、最後にシュリンク包装というフィルム掛けをする加工賃の仕事です。
昨年からこのシュリンク包装機の調子が悪く、穴が開くという不良が多く発生するようになりました。穴が開くと製品として認められず、フィルムをはがして、もう一度機械を通すという作業が必要になります。
穴をふさぐために、温度を変えたり、フィルムをシールしている時間や、フィルムの幅を変える必要があります。調整には、職人技なところがあります。ベテランのパートさんが対応してくれてましたが、今年の2月に、どれだけ調整しても穴の発生率が下がらないという日がありました。
それで、私が調整をすることになりました。しかし、いろんな数値を変えてみますが、状況がほとんど変わりませんでした。もうお手上げでした。この日は、一旦作業を中止することにしました。
これは機械を買い替えないと無理かもしれないという思いがわいてきました。きっと暗い顔をしていたのでしょう。ベテランのAさんから、元請けも同じ機械を使っているので、Xさんに相談してみましょうと言われました。
私は、自分の会社の機械を調整してもらう手間を元請けのXさんにかけることに、とても抵抗がありました。返事をしないでいると、Aさんは、「Xさんなら来てくれますよ。私から連絡しますよ」と明るく言いました。
すぐに、Xさんと部下のYさんを連れて、会社に来てくれました。二人で来てくれたことに申し訳なく、「Xさん、Yさん、忙しいのにすみません。お手数を掛けます」とお詫びをしました。
Xさんから「辻さんの会社が止まってしまったら、うちも困るしなぁ」と笑いながら返事をしてくれました。それから薄紙を挟んだり、私が選ばないような数値を設定して、二時間近く微調整をしてくれました。
もうこの機械の調整は、私の手に負えないと思いました。調整が終わり、ベテランのAさん、私、Xさん、Yさんで話をしました。Xさん、Yさんはほかの下請け工場にもこの機械の調整に行くことがあるそうです。そのことをAさんは知っていたようで、今回Xさんにお願いをしたようです。
私はつい自分でなんとかやろうとする癖があります。今回のことは、MGで言うと資金繰り表が合わない。マトリックスが合わないようなものです。
手を上げてベテランに聞けば、すぐ終わるのに、なんとか自分でやろうとしている初心者と同じだと思いました。自分でやるのも大事ですが、上手な人に頭を下げることも必要なことだと改めて思いました。
また、この機械にある消耗品があるのですが、それを新品で買えば数万円します。数千円で新品のように再生してくれる工場も教えていただきました。帰り際に、「これだけ資材の値段が上がって、人件費も上がっているので、お互い良い情報は共有して、助け合っていきましょう」と言われました。
後日、元請けの社長には、「先日機械の不具合があり、Xさん、Yさんが、すぐに当社に来て不具合を直してくださった。自分の会社のように対応してくださったことがありがたかったです。」とお礼のハガキを出しました。
Xさん、Yさんからは、丁寧にありがとうございました。と連絡をいただきました。こういう関係性で仕事ができていることは本当にうれしい限りです。また、自力有限、他力無限という言葉を師匠から教えてもらっていますが、まさにその通りだと思いました。
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