30年前の憧れが、また動き出しました
- 3月15日
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前回のブログでお伝えした通り、Uさんが先月末で退職されました。Uさんは、15年もの間、リフト作業を一手に引き受けてくれていました。
Uさんにリフト作業をしてもらおうと思ったきっかけがあります。およそ30年前、つくだ煮のブンセンへ会社見学に伺った際、女性の方が颯爽とリフトを操作されている姿を拝見しました。その光景があまりに格好良く、「自社もいつか、女性が当たり前にリフトを動かせるような会社にしたい」と強く心に刻みました。
その願いを、15年前から今日まで現場で体現し、当たり前の光景にしてくれていたのが、Uさんでした。しかし、Uさんの退職が決まり、私は大きな壁にぶつかりました。15年近くUさんが一人で担ってくれていた重責。周囲も「リフトはUさんの仕事」という認識が強く、誰も手を挙げられない状況だったのです。
そんな中、ベテランのTさんが「主任のOさんと、次期主任のSさんの二人に頼んでみては」と提案してくれました。しかし、私はなかなか二人に切り出すことができませんでした。フォークリフトの講習は、朝8時から夜20時まで、それを4日間連続で行うという、時間的にも体力的にもハードなものです。パートとして働いてくれているお二人に、そんな負担を強いてしまうことへの申し訳なさ。
「きっと嫌だろうな」「ご家族にも迷惑をかけてしまう」——そんな思いが先に立ち、言葉に詰まっていました。そんな私の葛藤を察してか、Tさんが二人に打診をしてくれました。そして二人は、その大変さを十分に理解した上で、「会社のために」と快く挑戦を引き受けてくれたのです。
1月の講習は、想像を超える苦労の連続だったようです。当社のリフトは電動ですが、教習所では古いエンジン式。クラッチ操作が必要なマニュアル仕様で、オートマ限定免許のSさんは、文字通り必死だったと聞きました。
本来ならしなくてもいい苦労を、会社のピンチを救うために引き受けてくれた——そのお二人の覚悟と献身を思うと、胸が熱くなります。結果は、見事二人揃って合格。現在、OさんとSさんは現場でリフトを動かしてくれています。
30年前に憧れた「女性がリフトを動かす会社」という姿。Uさんが15年かけて築き、守り続けてくれた大切な光景が、今回、自ら「大変な役目」を引き受けてくれた二人によって、これからも受け継がれていくことになりました。
きっと、お二人の本音は、リフト講習は、嫌だったと思います。それでも「会社のために」と一肌脱いでくれたお二人の優しさと強さに、心から感謝しています。
Uさん、15年間、私の願いを形にし続けてくれて、本当にありがとうございました。そして、OさんとSさん、大変なことに挑戦してくれて、ありがとうございました。
今回の出来事を通じて、改めて感じたことがあります。もしお二人からリフト講習を断られていたら、私がリフト作業をすることになっていたでしょう。しかし、それでは到底会社は回りません。会社というものは、社長が一人で動かせるものではなく、現場で働く一人ひとりの貢献によって支えられているのだと、改めて実感しました。
そして同時に、本来であれば社長である私が、もっと早く「次の担い手を育てる準備」をしておくべきだったとも反省しています。
お二人が大変な講習に挑んでくれたのは、「会社のためなら」と思えるような職場の文化が、少しずつ積み重なってきたからではないかと思います。その文化は、社長だけが作るものではなく、現場で働く人たちの日々の挑戦によって育まれていくものです。
今回の出来事は、「人に支えられて、会社は続いている」ということを、改めて教えてくれました。これからも、そんな仲間たちに恥ずかしくない社長でありたいと思います。
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