アンカリング
- 8月1日
- 読了時間: 4分

「アンカリング」という言葉をある勉強会で、教わりました。船が「錨(アンカー)」を海底におろしてその場に固定するように、私たちの脳や体も、特定の刺激を受けると、自動的に特定の感情や記憶を引き出すようになります。これが「アンカリング」でした。
そして重要なのは、この結びつきは自然に生まれるだけでなく、意図的に作ることもできる、ということでした。つまり、「この刺激を受けたら、この感情になる」という組み合わせを、自分であらかじめ用意しておくことができる、ということです。私たちは意識していないだけで、日常生活の中でたくさんのアンカーを作っているそうです。
たとえば、
・特定の曲(応援歌や思い出の曲)を聴くと、一気にモチベーションが高まる、または当時の感情がよみがえる
・お気に入りのアロマやルームフレグランスの香りを嗅ぐと、リラックスして心が落ち着く
・特定のペンや手帳を開くと、スイッチが入って仕事モードに切り替わる
言われてみれば、思い当たる方も多いのではないでしょうか。
これを知って、「これは使えそう!」という閃きが湧きました。私は、とっさに湧く怒りやイライラを、うまく扱えずにいたからです。さっそく携帯のトップ画面を愛犬の「夢(ゆめ)」の写真に変えました。
怒りの感情が生じたときにこの画面を見たら、感情が静まりそうな予感がしたからです。しかも、これにはさらに良い点がありました。夢はトイプードルという犬種です。毛が伸びるのが早いので、毎月、私よりも高いカットに行きます(笑)。
そこでカット後の写真を撮ってもらえるのです。それを妻が毎月、家族LINEにアップしてくれるのです。つまり、毎月新しい写真に変えることができるため、「マンネリ化」を防げるという素晴らしいメリットにも気づきました。
先日、飛び込み営業の現場で、この「携帯画面を見る」という実験を試してみました。結果は、なかなか良いです。
以前の私は、アポなし訪問で受付や担当者に素っ気なく対応されると、内心「そんな面倒くさそうな態度をしなくても」とイラっとすることがありました。また、忙しそうにあしらわれると、「もう少し話を聞いてくれてもいいのに」と、その場を離れてからもモヤモヤが残ることがありました。
そんなときに携帯画面の夢を見るようにしてから、何かが変わりました。「許せるようになった」というのが、一番近い表現です。
「相手も忙しい中、時間を割いてくれてありがたい」「今回は縁がなかっただけ、また次の機会に」。そう思えるようになりました。以前よりも、次の訪問先に気持ちを切り替えやすくなった実感があります。
この考え方は、飛び込み営業の場面だけでなく、他にも応用できそうだと思いました。実は、読書でも同じことを試していました。
以前は寝る前に本を読むようにしていましたが、すぐに寝落ちしていました。決めたことをやらないが嫌になり、寝る前の読書をやめていました。
4月からランニングを再開したのですが、走り終えると頭がすっきりすることに気が付きました。それで、ランニング→入浴後→読書、という流れにしてみたところ、寝落ちせずに読書が続くようになりました。「走る→頭がすっきりする→読書がはかどる」という結びつきを、意図的に作ることができたわけです。
アンカリングとは、このように特別な技術ではありませんでした。知らないうちに、すでにやっていることがあると思います。
ただ、ここで一つ気になることが生じました。このように「正の効果」があるなら、当然「負の効果」もあるのではないか?ということです。
負の効果の例をAIに聞いてみると、「特定の人からの着信には身構えてしまう」「歯医者のあの機械の音を聞くだけで緊張する」といった例が出てきて、「確かにあるなぁ」と納得しました。
私たちは知らないうちに、さまざまな刺激と感情を結びつけて生きているようです。ここは気をつけたいところです。まだアンカリングを始めたばかりで偉そうなことは言えませんが、携帯のトップ画面を変えるだけで何かが変わるなら、やってみる価値はあると思いました。
ちなみに、この話を家族にすると「え、それだけ?」「大の大人が犬の写真で気持ちを落ち着けてるの?」と、驚かれるやら、笑われるやらでした。効果があるからいいんです、と本人は至って真面目なのですが。
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