下請け脳
- 8月15日
- 読了時間: 4分
更新日:8月17日
3年前のブログで、「下請け脳」という言葉を書きました。木箱屋を経営していた頃、ある方から「2個だけ欲しいんだけど」と言われたことがありました。私は即座に「2個ではコストが合わない」と思いました。木箱という商品は、ある程度まとまった数を一度に作るからこそ採算が取れます。
段取りの手間は、2個作っても1000個作っても同じようにかかるからです。だから2個だけでは赤字になると思い、このお願いを断りました。
その時は当たり前の意思決定だと思っていましたが、たくさん作らないと儲からないと考えるのは、正に下請け脳でした。
3年前のニュースレターを書いた時、私はどこかで「これに気づけたから、もう大丈夫だ」という気持ちがあったように思います。しかし最近の自分の行動を振り返り、気づくことと、変われることは、全く別だとわかりました。
最近、新しい分野に営業をしています。そこに下請け脳の意思決定がありました。
一つ目。相手の仕様、つまりすでに欲しいと言われているものに、どう応えるかという「手段」にばかり頭が向かいます。
すでに顕在化しているものにしか、興味が湧きにくいのです。言われたことをどう解決するかは考えますが、なぜそれが欲しいのかは、あまり考えていません。
相手の要望を聞いた瞬間に、頭の中はもう「どうやって用意しようか」という段取りに入ってしまっているのです。
二つ目。目の前の要望の奥にある、その人が本当はどうしたいのか、どうなりたいのかという、まだ言葉になっていないものを聞き出すことに、慣れていません。表に出た言葉をそのまま受け取ることはできても、その奥を掘り下げる質問が、とっさに出てきません。
商談の場で「他に何かお困りのことはありますか」とは聞きますが、それすら形式的な一言で終わってしまい、本当にその先を知ろうとして粘って聞くことができていないと思います。
三つ目。相手の会社が良くなるためのゴールから逆算する、ということができていません。目の前の商談を一つずつこなすことに気を取られて、その先にある相手の未来から逆算して今何を提案すべきか、という順番で考えられていないのです。
MGの研修では、目標から逆算して今日何をするかを考えるフォアキャストとバックキャストという話を、参加者の方には何度もお伝えしています。人には教えているのに、自分の営業では、目の前のことに追われるままの、行き当たりばったりのやり方をしていることに気づかされました。
具体的に、こんな場面がありました。私はある商品を営業する時、すでにその商品を使ってくれているところにばかり足を運びます。反応も良く、話も早いので、つい安心して通ってしまいます。しかし本当に届けるべきは、まだ使っていないところのはずです。
使っていない会社に対して、「この商品を使うと、あなたの会社の利益がこれだけ増えます」という話を、私はしていません。使ってもらっていないのに、なぜ使ってもらえないのかを深く聞きに行くことも、実はあまりしていませんでした。
断られるかもしれない場所より、歓迎してもらえる場所に足が向いてしまうのは、人として自然なことかもしれませんが、それでは商売として広がっていきません。
すでに買ってくれている人に売るのは簡単です。安心できるし、断られる怖さもありません。しかし、まだ買っていない人に、その価値を最初から説明し、なぜ必要なのかを分かってもらう。
これができて初めて、「決める側」に立てるのだと思います。私がやっているのは、いまだに「聞かれたことに答えるだけ」の商売です。
3年前、この言葉を書いた時は、頭では分かっているつもりでした。しかし3年経って、分かっているつもりと、実際にできていることの差は、こんなにも大きいのかと、改めて思い知らされます。
3年間、何をしていたのだろうと、少し情けなくもなります。3年前より、やらない理由は分かるようになりました。でも、まだ実践していません。もしかしたら、また3年後に同じテーマでニュースレターを書いているかもしれません。
それでも、少しずつでも解像度が上がっていくのなら、それでいいのかもしれないと、今は思っています。
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