師に学ぶとは

私の一人目の師匠は、滋賀ダイハツの後藤昌幸さんです。お会いした当時、毎月、講師を大阪に呼んで勉強会を開催してくれていました。私は自分に興味のある勉強会だけに参加していました。毎年10回も参加すればいい方でした。


私と同じころに参加したAさんは、この勉強会に皆出席はもちろん、後藤会長が呼ばれて講演するところも参加していました。数年たつとAさんは、後藤会長と個人的に飲みに行ったり、滋賀ダイハツの経営方針会に呼ばれたりと会長から可愛がられていました。その頃の私は、Aさんは後藤会長にうまく取り入ったなぁという印象でした。この時は師に学ぶことが、まったく分かっていませんでした。


二人目の師匠は、MG開発者の西順一郎さんです。MGを学びに行ったのに、マイツールという古臭いソフトを使えと毎回おっしゃるのです。どのくらい古いかというと、画面がカラーではなく、真っ黒なんです。さらに、コマンド(命令)をしてからじゃないと入力できないというソフトでした。少し触りましたが、これはエクセルでもできると言って、それ以上は何もしませんでした。


西先生に、何度お会いしてもマイツールを使わないと経営はよくならないとおっしゃるので、数年前からマイツールを少しづつ使うようになりました。最初は、保存の際にミスをして、せっかく入力したことがパーになり、数度挫折しました。そのたびに西先生の言葉を思い出し、使い込んでいくと、簡易なプログラミングができるようになりました。プログラミングを使うとMGでの卓分け(売上順に卓を分ける)作業が一発でできるのです。


あまりの便利さに今ではマイツールが手放せません。今思えば、エクセルでもできると思っていた自分が恥ずかしい限りです。


三人目は、このニュースレターでも良く登場する経営の師匠です。最初にお会いしたときに「辻さん、素麺をやめたら」と言われました。当時、一番の売り上げを上げている商品で、これを伸ばそうと相談に行ったのに、それを止めろってどう言う事と反発したのは、今ではいい思い出です。


また、「辻さんは合理的に物事を考えるので、トイレ掃除や募金など損を引き受けることをやったらいいよ」とアドバイスをいただきました。私は、儲けるにはどうすればいいのか? と相談しにいったつもりなのに、なんの益も生まない掃除や募金をやったらいいというアドバイスに意味が分からず、手を付けないままでした。


私の師から学ぶ態度は、師から教えられたことから、私が勝手に効果があると思うことだけをつまみ食いするやり方でした。当時はそれが効率的だと思っていました。


学ぶ態度を表す言葉に「守破離」があります。まずは師の教えを忠実に守る。それが習得できたら、その教えを破る。そして自分なり独自の考え方を作ると言ったような意味です。

以前の私は、自分の都合の良い、やりやすいことだけをやって、「守」をおろそかにしていることに気が付きました。それどころか、自分の意見に合わない師匠を少し下に見ていたかもしれません。


この「守」に関して、私には尊敬している人がいます。井辻食産の井辻快調です。井辻快調のFBの投稿で、戦略ペン(赤と黒のペンをテープで巻いて一本にしたもの)をポケットに入れていて、ペンのインクが服についたという投稿が何度もありました。


そのたびに、何年もこの戦略ペンを使っているが、この良さだけは分からないと書いてられます。このペンは西先生が愛用されているペンですが、MG界でも使っている人は少ないです。


私なら、意味が分からないからマネをしないですが、井辻快調は、自分が納得してなくても師の教えは、すべてマネするを徹底されています。ようやく鈍い私にも分かり始めました。最初のAさんの後藤会長への返答は「ハイかYes」でした。私なら自分の都合で「YesかNo」を決めていました。これは、意味が分からないからやらないにも通じますね。


結局は、その時の自分のレベル(価値観)でやるかやらないかを決めているのです。それじゃ師匠から可愛がられることもないですし、経営がうまくいくわけもありません。


経営の師匠が「素麺をやめたら」とおっしゃったのも異常に強い商品があるとそれに頼ってしまい、その商品の競争力が失われたときに会社がガタガタになる。その商品が力があるうちに次を探しなさいと意味だと思います。


実際には、素麺の生産者の数が減り、売上が徐々に減ってきました。素麺は年に一回の勝負で、販売チャンスを逃すまいと思って、どうしても在庫過多になりやすいです。そのため資金繰りが大変でした。売上が減るたびに資金繰りが楽になりました。さらに、素麺は夏だけの商材で、当社の事務員さんのレベルでは、なかなか慣れませんでした。そのため、私が販売と仕入の数の管理をしていて、夏場はかなり忙しかったです。


素麺が減って、通年商品の販売が増えてくると毎日同じような作業をするので、事務員さんの管理で十分に回るようになりました。素麺をやめることで、会社がうまく回り始めました。


以下師匠のブログです。

多くの人が成功できないのは、失敗したくないという気持ちから、何事にも及び腰で臨んでいるからだと思います。


こういう人は講演を聞いても聞いたことを実践しません。中には、おいしいところだけつまみ食いする人もいますが、そうしたやり方では本当の理解はできないと思うのです。


以前にも「大学」(注:中国の経書)の「講演や本から学ぶは下である」ということを書きましたが、その理由は自分の好きなところだけ取れてしまうので自己流が抜けないからです。


師から学ぶことの良さは、本や講演と違って自分が納得できないこともやらなくてはならないからです。


私(注:師匠)にも「こんなことしたってしょうがないだろ」「これは意味がないだろう」と思うことがいくつもありました。


しかし、今振り返ると「こういうことだったんだ!」「やっておいて良かった!」と思うことがたくさんあります。

(引用終わり)


鈍い私にでも、様々な体験や素晴らしい人と自分の態度を比べることで、師匠のブログの言っていることが少しは理解しました。意味が分からなくても師匠の勧められることは、愚直に実践していきたいと思います。



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