「効率的に」に潜む罠
- 辻 敏充
- 8月1日
- 読了時間: 3分
更新日:8月5日
ある日、従業員さんの出社の様子を見ていて、「効率的にやっているつもりでも、それがあだになることがあるな」と感じた出来事がありました。
弊社の敷地は、道路から入るとすぐに食堂があり、そこにタイムカードがあります。食堂の隣が事務所で、駐車場は少し奥にあります。駐車場から食堂まではおよそ100m、歩いて1分もかからない距離です。
道路→タイムカード(食堂)→事務所→駐車場
私は朝、事務所の床にワックスをかけた後、食堂と事務所の間にある水栓で雑巾を洗っているのですが、その時にあることに気づきました。
私に「おはようございます!」と声をかけてくれる従業員さんと、そうでない従業員さんがいるのです。
挨拶してくれる人は、
①駐車場に車を止める
②歩いて食堂に向かう途中で私を見かけ、挨拶する
③タイムカードを打刻する
④事務所へ入る
という流れでした(Aチーム)。
一方、挨拶しない人は、
①車を食堂の前に停める
②タイムカードを打刻する
③その後、車を駐車場に移動する
④事務所へ入る
という流れでした(Bチーム)。
どちらも出社時間に余裕があるので、私はこれまで特に気にしていませんでした。「Bチームの方が効率的だな」と思う程度だったのです。ところが、ある日ふと気づいたのです。Bチームの人たちのほうが、仕事での小さなミスやトラブルが多いということに。
ちなみに、私の妻はAチームです。そこでその話をしてみると、「そりゃそうよ」と言われました。
その言葉に、ハッとしました。本人は効率的に動いているつもりでも、たった1分の時間を惜しんで自分の都合を優先しているその行動が、実はその人の価値観や優先順位を表しているのだと思ったのです。
たった一分を惜しむのと同じように、仕事でチェックする時間を惜しんだりしているのではないかと、それが表れているのかもしれません。
偉そうに他人を批判していますが、私自身も同じようなことがあります。効率を優先して、本人としては手を抜いたつもりはないのに、結果として雑になってしまったり、周囲から「自分本位だ」と思われたりと、思い返すと、似たような「一分を惜しむ判断」をして、失敗につながっていたように思います。
他人の行動を見て「こういう人はダメだな」と思うのは簡単ですが、それを「自分もやっている」と気づくことの方が大切です。まさに「一事が万事」。一つの小さな行動に、その人の在り方が現れるのだと思いました。
私はまだまだ、学んだことを実生活に活かしきれていません。反省すべきは他人ではなく、自分です。この気づきを実践して、面倒くさがらずに一つ一つ丁寧に行動をしていきたいと思います。
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