ペットボトルの一件で気づいた「傲慢さ」
- 辻 敏充
- 11月15日
- 読了時間: 4分
更新日:4 日前
私は、自宅周辺のゴミ拾いをしています。以前は月1回でしたが、最近は、週末の犬の散歩に合わせてごみ拾いをするようになり、月に3-4回程度になりました。回数が増え役立っているという実感がわいてきました。
ごみの量が増えてきたので、妻から市が提供してくれている「不法投棄物等回収専用ごみ袋」を使うように提案され、専用袋を使うことにしました。45Lと大きい袋でしたので、3-4回程度ごみ拾いをしないと満杯になりません。
先日、ゴミ拾いに出ようとすると「ペットボトルは分別してね」と妻から言われました。理由を聞くと、「この前はペットボトルを分別していなかったから持って行ってくれなかった」とのこと。
その瞬間、私は、ごみを持っていかなかったごみ収集者に対してイラッとしました。「どうせ汚れていて燃やすだけなのに」「地域のためにやっているのに、いちいち細かいな……」心の中にそんな言葉が浮かんできたのです。その場では、妻に「じゃあ、ペットボトルは拾ってこないよ」と笑って出ていきました。
モヤモヤしながらもゴミを拾っていると、以前拝見した鍵山秀三郎さんが掃除をされている動画のことを思い出しました。鍵山さんは、掃除そのものも丁寧ですが、使った道具を綺麗に洗い、整えるだけでなく、拾った空き缶を缶切りで底をあけて、吸い殻を取り出して分別をされてました。この動画のことを思いだしたときに、私はふと考えました。
「もし鍵山さんなら、ペットボトルの分別など当然のようにされるだろう」「注意されたら、素直にありがとうというだろう」「そもそも“良いことをしている”と意識していないだろう」そう思った瞬間、私は自分が“良いことをしている自分”に酔っていたと心の底から反省しました。
ゴミ拾いをしながら、自分の胸に聞いてみました。なぜ私は、イラッとしたのか?なぜ「細かいな…」という気持ちが湧いたのか?なぜ妻の一言を素直に受け止められなかったのか?その答えは、とても単純でした。
「良いことをしている自分は正しい」と思っていました。だから注意されるのが面白くなかった。「良いことしているのだから、このくらいいいでしょ」という甘え気持ちがありました。
これは「良いことをしているからこそ」生まれた傲慢でした。
「自分は良いことをしている」
「だから細かい部分は許される」
「多少雑でも問題ない」
こんな価値観が、傲慢の正体だと思いました。
また、もう一つ恥ずかしかったことがあります。ごみ拾いをしているときに、なんで今までペットボトルを分別してなくても問題がなかったのだろうか? という疑問がわいてきました。
ごみ拾いが終わり、家に帰ってきて、妻に「なんで今までは問題がなかったの?」と聞くと、妻はこう言いました。「今までは、量が少なかったから私があとから分別していたのよ。」この瞬間、顔から火が出るほど恥ずかしくなりました。
私は、陰で妻が丁寧にフォローしてくれていたことすら気づいていなかったのです。むしろ、私はその上にあぐらをかいていた。そして、注意されたときにムッとした。これこそが、師匠の言う「良いことをしているときほど注意をしなさい」というアドバイスそのものだと気が付きました。
しかし“傲慢”は、自分では気づきにくく、指摘されたときに反発し、自分を守ろうとする厄介な性質があります。例えば「良いことをしている自分に酔う」「注意されると腹が立つ」「これくらいでいいでしょ」と基準が甘くなる「周囲の助けに気づかない」「自分の行為を正しいと過大評価する」こうした傲慢さが積み重なると、人としての魅力が下がると思いました。
今回の出来事は、大きな学びになりました。
・良いことをしていても傲慢は生まれる
・注意されたときの反応に本性が出る
・陰で支えてくれている人がいる
私はこれから、ごみを見つけたから拾う。ただ当たり前の事としてやることで、「傲慢を手放す練習の時間」にしたいと思います。良いことをしているからこそ、その行動に“驕り”が混ざらないように、丁寧に自分を観察しながら取り組みたいと思います。
私も以前、私が清掃している自社のトイレの清掃の不備を、入社1年ほどの若い社員に、全体ミーティングで指摘されたことがありました。 それを聞いた私は、「次回から気をつけます」と返事したのですが、返事をしながら、それを聞いている者の中には、「それぐらい自分でなんとかしたらいいのに」と思っている者もあったのではと、考えていました。 私の場合は、会社でのことで、皆の目もあって素直になれましたが、それが自分の嫁からの指摘であったら、ムッとしてしまっていたかもしれません。 「良いことをしていると思っているときほど気を付ける」というのは、心に留めておきたいと思います。
私も、自分が正しいことしているのに、注意されてうるさいなあと思ったことがあります。まさに傲慢でした。これから気をつけます。