1か月早い誕生日パーティー
- 辻 敏充
- 5 時間前
- 読了時間: 4分
先月、従業員さんからこんなふうに声をかけられました。「社長の誕生日に、パーティーをしたいのですが、予定空いてますか?」社長としては、胸を張って「もちろん空けてあるよ」と言いたいところです。
その日は、私が自分で入れた研修がガッツリ入っている日でした。“完全に自分のせいで空いていない”という、この情けなさ。とはいえ、どうしようもないので、泣く泣く「すみません、その日は無理です…」と伝えました。
すると、従業員さんは嫌な顔ひとつせず、「大丈夫ですよ。別の日にします」と、まるで私が悪くないかのようにフォローしてくれました。その優しさに、胸が熱くなりました。
その数日後のことです。「社長、11月23日か24日は空いてますか?」と改めて聞かれました。スケジュールを見ると24日は空いていたので、そう伝えると、「では、1か月ほど早いですが、その日に誕生日パーティーをします」と元気よく返ってきました。
「いや、誕生日は12月やけど!?」という心のツッコミを飲み込みながら、“なぜ1か月早いのか…”という疑問を抱えつつ当日を迎えました。
案内されたお店の入り口をくぐった瞬間、理由が分かりました。目の前に広がるのは、生カニ、ゆでカニが皿いっぱいに盛られた光景。「ああ、そういうことか」私はカニが大好きです。おそらく従業員さんは「社長の誕生日なら、絶対にカニがいいはず!」と考えてくれたのだと思います。

席に着いて話を聞くと、なんとその日はカニ食べ放題。これは危険です。カニの前では、人は無口になる生き物です。案の定、開始そうそうみんな黙りました。2時間近く、「ほじる音」しか聞こえなかったと思います(笑)。けれどそれは、私にとって至福の時間でした。
食事会が終了して、従業員さんが私にプレゼントを渡してくれました。箱を開けると、かに玉・カニ雑炊・カニチャーハン・カニのお菓子・カニ缶・カニ缶。正に “フル・カニ・ラインナップ”。どれだけカニを詰め込むんだと笑ってしまうほどでした。今年のテーマは完璧な 「カニ100%」 でした。

思い返せば、昨年は、私の両親も食事会に呼んでくれて盛大なパーティーにしてくれました。また、「辛いもの好き」の私のために“麻婆豆腐・辛いスナック菓子や豆菓子・辛ラーメン・唐辛子など激辛フルコース”を用意してくれました。

大好きなカニや激辛セットが嬉しかったのでもなく、“私のことを思って準備してくれている“その事実が、本当にうれしかったです。
忙しい中でお店を探すだけでなく、テーマを決め、どんなプレゼントを買い揃えてくれている。その背景を思うと、社長としてというより“人として”胸が熱くなりました。こんな従業員さんたちに囲まれていることが、何よりの財産だと心から思いました。
食事会が終わり、お店を出て帰る車の中で、ふと思いました。「幸せって、こういう時間のことなんじゃないか?」カニでもなく、プレゼントでもなく。会社の業績でも肩書きでもなく。“だれかが自分のことを思ってくれている”この瞬間こそが、人生の豊かさなんだと実感しました。
そして同時に、「自分は従業員さんをどれだけ喜ばせられているだろうか」と深く考える機会にもなりました。日頃の働きやサポートはもちろん大切ですが、こうして自分が受け取った“心のこもったプレゼント”を思うと、私も従業員さん一人ひとりの幸せにもっと心を寄せたいと強く感じました。
経営を続けていると数字やタスクが優先になりがちですが、結局人が会社をつくるのだと改めて教えてもらった気がします。
今年はカニ。昨年は激辛。来年はいったい何が来るのか…?正直、ちょっと怖いです。しかし、それ以上に楽しみでもあります。なぜなら、テーマが何であれ、「社長を喜ばせたい」という気持ちの塊だから。これ以上のプレゼントはありません。
来年の誕生日を、また笑顔で迎えられるように。そして、従業員さんが胸を張って「この会社で働いてよかった」と言ってくれるように。私は、仕事で・行動で・姿勢で、しっかりと恩返しをしていきたいと思います。今年の誕生日は、カニ料理とともに、私にとって“幸せとは何か”を優しく教えてくれた時間でした。

何でも言われたとおりにやります。

ケーキもいただきました。
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