パン屋と浮浪者
「俺が待っていることを知っているだろう!」とある浮浪者が言いました。 それを聞いたパン屋さんは、自分としては良かれと思っていやっていたことが、あだになったと思ったそうです。 独立して移動式のパン屋さんを始めました。パンの質には自信がありましたが、なかなか認知が高まらず、毎日パンが売れ残っていました。パン工房に戻り、売れ残ったパンをゴミ箱へ捨てるときには、情けなさや将来への不安で涙が出たそうです。 あるとき、公園で浮浪者を見かけました。売れないパンを捨てている自分に、将来がかぶって見えたそうです。その浮浪者がかわいそうになり、車を停めて「残り物だけどパンを食べるかい」と声を掛けたそうです。 その浮浪者はパン屋さんの手を取り、涙ながらに「あなたみたいな人は初めてです。腹が減って、もうだめかと思っていました。ありがとうございます。ありがとうございます」と喜びました。そしてパン屋さんが車を発進させてからも、ずっと頭を下げていました。 それから、パン屋さんは、毎日にその公園を通って、売れ残ったパンをその浮浪者にあげるようになったそうです。一ヶ月近くたったあ